『ロービング・アンパイア』マニュアル

セルフジャッジの試合では、アンパイアがいないため、少なくとも4面に1名のロービング・アンパイア(Roving Umpire)を配置することとなっています。
「コートの友」2000年版以降では、従来の「コートレフェリー」という呼称を改め、『ロービング・アンパイア』と呼ぶことになりました。いくつかのコートを受け持って、時間の管理やプレーヤーの違反を監視したり、観客をコントロールしたりするのがロービング・アンパイアの任務です。「Roving」には、「あちこちうろうろする」という意味があります。
このロービング・アンパイアの任務について箇条書きにまとめてみましたので参考にしていただければ幸いです。「私たちは、こんなふうにやっている」などご意見もお寄せください。
このマニュアルをハードコピーして講習会などに利用することについての事前許可は不要です。ご自由にお使いください。但し、審友会名を削除したり、無断で手を加えて改変して配布したり、電子的に配布したりすることは著作権法違反となりますのでご承知おきください。


 

ロービング・アンパイアは、セルフジャッジの試合で次の任務を遂行します。

1)ネットやシングルススティックの状態をチェックする。
ネットの状態(高さ、破れ、テンションなど)、シングルススティックの状態(位置のずれなど)を1試合毎に確認します。
2)コートコンディション
試合前に、コートが水で濡れていないか、プレーの支障となるような障害物はないかなどを見て回ります。
3)服装のチェック
ロゴ違反はないか、Tシャツなどで試合をしていないか、をウエア裏返して着ていないかなどをチェックします。
4)時間の管理(遅刻、ウォームアップ時間、20秒、90秒、120秒違反違反など)

試合開始時(マッチコール後)の遅刻
片方が10分を超え15分以内の遅刻 サーブ/エンドの選択権をおよび第1ゲームを失う。
片方が15分を超える遅刻 失格
双方ともに10分を超え15分以内の遅刻 ウォームアップなしで1ゲームオールから
双方ともに15分を超える遅刻 双方とも失格
「試合受付の遅刻」と「試合コール後の遅刻」

「大会要項に試合開始予定時刻の10分前までに受付をしないと失格」などと明記されている場合には、それに従うことになります。試合開始時の遅刻に関する規定が適用されるわけではありません。

試合中断後または10分間休憩後の試合再開時の遅刻
3分を超える遅刻 1ゲームを失う(ゲーム途中の時は、そのゲームを失う)
5分を超える遅刻 失格
試合中断後のウォームアップ

試合開始前のウォームアップが5分と定められている場合
15分以下の中断 ウォームアップなし
15分を超える中断 3分間
30分を超える中断 5分間
5)不正確な判定をオーバールールする。
明らかにグッドであるボールをアウト(フォールト)とコールしたプレーヤーの判定をオーバールールしたり、明らかなアウト(フォールト)ボールを返球したプレーヤーに代わってアウト(フォールト)と、オーバールールする。
オーバールールする場合には、コートのそばでプレーヤーの『明らかな判定の間違い』を確認してからコールすること。
6)フットフォールトをコールする。
フットフォールトのコールもコートのそばまで行って明らかな事実を確認してコールすること。
一方のプレーヤーだけ監視することのないように注意すること。
7)プレーヤーのイン/アウトのコールが正しく、大きな声で、また、明確なハンドシグナルでなされているかチェックする。
8)コートを離れるとき、相手プレーヤーの同意を得ているか確認する。
ロービング・アンパイアやレフェリーの許可を得るよう指導する(トイレットブレーク、水の補給など)。
9)コーチングの監視
水の補給等の理由のもとにコーチングがなされないかどうか監視する。
10)その他、スポーツマンシップに反する行為の監視。
11)中断
a)雨その他天候による中断
基本的にはレフェリーの判断で中断するが、コートが滑って危険とプレーヤーからクレームがあったときなどは、レフェリーの判断を待たずに中断させることもある。
b)日没による中断
ゲーム数の合計が偶数になった時点、またはセット終了時点で中断するが、必ずレフェリーの判断を仰ぐこと。
c)トイレットブレーク(5分以内)

5分を超えたときは、「Unreasonable Delay」としてコードバイオレーションを課します。

女子 トイレはいつでも、着替えはエンド交替時
1試合(3セットマッチ)に2回(ダブルスはペアで2回
ペアが同時に要求すれば2人で1回)
男子 トイレを理由にエンド交替時
3セットマッチは1回、5セットマッチは2回
(ダブルスはいずれもペアで2回、同時に要求すれば2人で1回)
8ゲームプロセット 男女とも1試合に1回
1セットマッチ
d)けがによる中断(3分以内)
インジュリー・タイムアウトは原則として、大会で公認したドクターかトレーナーがいる場合にとれますが、大会要項に「セルフジャッジの試合においてはセルフトリートメントという条件でインジュリー・タイムアウトを認める」と定められている場合にもとれます。試合開始前に確認しておきましょう。ひとつのけがに対し、3分間の治療ができます。インジュリー・タイムアウトの要求は、事故直後からエンド交替時までにしなければなりません。治療は、直ちに中断して行なうか、トレーナー到着まで中断を遅らせるかを選択します。但し、ほとんどの試合はトレーナーがいないので「直ちにセルフトリートメント」することになります。
治療が終了したら3分間経たなくても試合を再開しなければなりません。

治療時間の残り時間を、けがをしたプレーヤー、相手プレーヤーにも伝える。
「残り2分です」
「残り1分です」
「Time」

e)着衣、シューズの破損による中断
試合中にプレーの続行が不能なほどに破損した場合、交換できます。
シューズが不可抗力で濡れた場合も破損と同様に交換できます。
f)中断時の措置

(1) 中断時の時間、スコア、コート上でのそれぞれのプレーヤーの位置、どちらがサーバーか(ダブルスの場合にはサービス順序も)をスコアカードなどに記入する。(2)試合に使っていたボールは、缶に入れ、どの試合のものか明らかにしておく。再開時のウォームアップは、別のボールで行なう。

(3)ウォームアップ時に中断したとき、トスの勝者は、試合再開時に再度、サーブ/エンドを選択できる。

© 2024 審友会