インプレー中に隣コートから自分の足下にボールが

先日の試合で、ポイントレットのコールについてどちらの主張が正しいのか、どうすべきなのか分からないことがあったものですから・・・・・。確かに、状況的に対等なラリー戦での中断や、足元のボール(当たった場合等)は、双方とも依存なくレットになると思うのですが・・・・・。
ある実際の試合でのインプレー中のことです、ベースラインでのストローク戦中に、隣りコートからボールが入ってきました。そのポイントに関しては私が押されており、ベースラインから1m程度下がって中ロブのストロークで凌いでいる展開でした。 私はバックサイドに降られていたので、中ロブで相手のアドコート側に返球し、センターに戻ろうとした時でした。右隣りのコートのボールが、僕側のベースラインにほぼ平行にコロコロと転がって入ってきたのが見えたんです。(僕の見た時は、まだ右サイドライン付近からこちらに転がってくる所でした。一方で、この時点で僕の打ったボールは、ネットを越えていないと思います。)
で、僕はこれは足元に来るので危ないと思い、動きを止めて手を上げてレットのコールをしました。(打った感触から僕のボールが浅いのは分かっていましたが、コール時はそんなことは全く考えていませんでした。)
が、相手は浅くなった僕のボールを回り込み、アドコートに向けて強打。僕は追いかけるのをやめている訳で、当然ノータッチでエースでした。(ちゃんと構え追いかけていれば、届かないボールではなかったと思います。) 当然、僕はレットを主張しましたが、相手も納得してくれませんでした。ゲームがお互いにとって大事な試合で、さらに接戦で4-4の佳境に入っていたこともあると思います。
相手の主張は、(1)自分は転がってきたボールとは関係ない方向に打った訳だから、   転がってきたボールは関係ないはず。(2)もし、次のボールを返球できていればレットのコールは認めてもいいが、返球できていない以上は認められない。との事でした。
しばらく2人で話しましたが、相手もゆずらず、結局は相手のポイントとしてゲームを再開しました。僕としては、今でもレットが正しいと思うのですが、ルールに確信が持てず、1ポイントだけで決まる訳じゃないし、揉めて精神状態を乱すよりいいと、自分を妥協させて、相手の主張を受け入れた訳です。このような場合、本来セルフジャッジではどのような取り扱いになりますか??また、主審のつく試合では、どのように扱われるのでしょうか??(00/11 MSさん)A:1.ここでは、松沼さんがボールを打った瞬間は妨害が発生していなかった。その直後に侵入ボールに気づき「レット」をかけた。しかし、そのボールは浅くて相手のチャンスボールであった。というような状況だと思います。
2.私の見解は、当然「レット」で問題ない状況だと思います。
> 相手の主張は、(1)自分は転がってきたボールとは関係ない方向に打った訳だから、転がってきたボールは関係ないはず。
> (2)もし、次のボールを返球できていればレットのコールは認めてもいいが、返球できていない以上は認められない。との事でした。

2.(1)は、相手も妨害になっていると認めているわけです。「その時点からコート半面だけを使って試合を続けましょうか」とでもいうようなことを言っているのと同じことです。(2)は、なんの根拠もない屁理屈だとでもいいましょうか。
4.「レット」については、妨害が発生したときにプレーヤーは「レット」をかけられる、となっていますから、今回のケースは当然妥当なことになります。
5.「レット」をかけたが、レットが取り消されなければならない状況は、「打った瞬間には妨害が発生していなかった」「その直後に妨害が発生した」「しかし、その打たれたボールは明らかなアウト(エース)ボールであった」という状況だけだと思います。
6.「明らかなアウトやエースのボールではない」と判断できたら、それはすなわちラリーの途中であり、ラリーの途中で妨害が発生したことであるから、「レット」となるわけです。 「レット」は、多くの場合、どちらかに「ラッキー」、どちらかに「アンラッキー」になってしまうことを認めなければいけないものですから。
7.しかしながら、セルフジャッジの現場では、松沼さんのケース例のように、レットに限らず、声の大きい方(自己主張の強い方)が主張を通してしまうものです。
ルールや常識的判断に精通して、理不尽な理屈に余裕をもって対応したいものです。

 

8,主審のついている試合においては、判断は、以上と全く同じです。しかしながら、主審にとって、「レット」のコールは最もむずかしいコールの一つになっています。
「証拠がまったく残らない状況であること」のなかで、「ショットの瞬間に妨害があったか?」「そのショットは明らかなアウトか明らかなエースであったか?」などを時間経過の最中に判断しなければならないからです。
さらに、主審は常時ボールをトラッキングしながらジャッジするのですが、妨害はボールと反対側のコートで発生することが多いからです。ボールのイン/アウトを正確に行う一方、視界をひろくして、ボールのない方のコートにも注意を払っていなければならない訳です。
9.セルフジャッジでは、「自分のコートに係るすべてのコールを行う」となっており、「レット」に関しては、「相手コートに入ってきた妨害ボールはこちら側からはレットをかけられない」と解釈する例がありますが、私の見解は、
(1)「妨害とは、とくに足元に転がってきたボールに限定されるものではないこと」
(2)「マッチ・ボール以外のボールが視界に入ってきたことは明らかな妨害である」
です。よって、いわゆるサイドラインから3.6m外側までのプレーゾーンに入ってきたボールはすべて妨害として「レット」となる、という説明です。
10.「自分側のコートだけをコールできる」という表現は、イン/アウトなどに関してはそのとおりですが、妨害は視界への妨害を含むものであるから、自分側のコートに限定して解釈することは非常識な屁理屈です。視界はいつでも相手コートを向いているのはテニスプレーヤーの常識です。自分の足元だけ見ていてはテニスになりません。ルール表現の枝葉末節にとらわれて、解釈に常識を見失ってはいけません。
11.プロフェッショナルの試合では、(主審がいても、セルフジャッジでも)実際にこのように判断されているのに、草テニスのセルフジャッジだけ、別の判断基準があって良いはずがありません。
12.みなさんも、試合中、相手選手の足元のすぐ後側にボールが転がってきており、いまにも相手選手がボールを踏んで捻挫しそうになっている状況で、レットをかけてはいけないとしたら、人間的な心をもっていたら心が痛みませんか? そうです、良心が痛むような非常識な解釈はやめて、素直にレットをかけましょう。
13.(それとも、相手が捻挫して自分が勝利することを期待しますか?)
(テニスは、悪魔同士が戦う競技ではないはずです。)
14.よって、この松沼さんの試合においても、相手方が先にレットをかけなければいけない状況だったというわけです。(00/12 Tenez Boyさん)

 

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