審判制度と資格の取得

日本の審判制度と世界の審判制度

テニスの審判員資格制度としては、国際テニス連盟(ITF)が公認する審判制度とその傘下の各国テニス協会が公認する審判制度とがあります。
イギリス、アメリカ、オーストラリアなどにもそれぞれ独自の審判制度があるように、日本にも独自の審判制度があります。
これまで日本では、ITFの公認審判員は、自動的に日本テニス協会(JTA)の公認審判員となることができましたが、1999年以降は、ITFの資格とJTAの資格が切り離されて取り扱われ、それぞれ別々に資格を取得することになりました。

<日本の審判制度>
日本テニス協会(JTA)が公認する審判資格は、1989年以前は、『講習会に出席し、資格審査を経た人、または公認指導員』に与えられていましたが、1990年以降は、審判資格がクラス分けされ、それぞれ資格認定試験が実施され、その合格者に資格が与えられることとなりました。

現在、審判員資格の種類は、「アンパイア」、「チーフオブアンパイア」、「レフェリー」と区分され、以下のように定義されています。
いずれの資格も一度取得すれば一生保有できるものではなく(終身資格ではありません)、実績がなければ降格、あるいは失効となります。

●資格の種類

審判員の資格(JTA)
アンパイア チーフオブアンパイア レフェリー
国際審判員 国際チーフオブアンパイア 国際レフェリー
A級審判員 国内チーフオブアンパイア A級レフェリー
B級審判員   B級レフェリー
C級審判員    

アンパイア

・「国際審判員」
ITFのゴールドバッジ、シルバーバッジ、ブロンズバッジ有資格者は、1999年以降も「国際審判員」として扱われ、国内の主要大会の決勝、準決勝の主審を務めます。もちろん、時には、予選の主審もします。
現在、日本には4名のブロンズバッジを有する「国際審判員」がいます。
・「A級審判員」
1998年までは、ITFのホワイトバッジまたはブラックバッジ(チーフオブアンパイア)保持者は「A級審判員」と認定されていましたが、1999年以降、ITF資格からJTA資格への移行措置が廃止されることになりました。今後、ITFのホワイトバッジまたはブラックバッジ保持者は、国内資格(JTA)としては、B級審判員として扱われることになります。
1998年に、はじめてA級審判員認定試験が行われ、3名のA級審判員が誕生しました。一次試験は筆記試験、二次試験は全日本選手権でチェアアンパイアを行い、その実技ぶりが判定されるという厳しいものでした。1999年には、さらに2名のA級審判員が誕生し、5名となりました。
A級試験の受験資格は、B級審判員有資格者で、所属する地域協会、都府県協会から十分な経験があると推薦された人です。
・「B級審判員」
C級審判員有資格者で、所属する地域協会、都府県協会から推薦され、B級審判員認定試験に合格した人がB級審判員となります。
1998年までは、アジアテニス連盟(ATF)が主催するレベル1スクールを受講し、試験にパスして「グリーンカード」を取得した人もB級審判員として登録することができましたが、1999年からこの移行措置も廃止になりました。
現在、日本には500名程度のB級審判員がいます。B級以上の審判員には、JTAが主催・主管する、国内で開催される国際大会および主要な国内大会で審判する機会が与えられます。
・「C級審判員」
C級審判員認定試験に合格した人に与えられます。
1998年現在、日本には、2000名程度のC級審判員がいます。主として都道府県協会の大会や国体などで活躍しています。
チーフオブアンパイア
ITFの資格制度と同様に日本でも新たにチーフオブアンパイア制度が設けられることとなりました。大会を運営するキーマンとして、これから重要視される資格です。
・「国際チーフオブアンパイア」
ITFのゴールドバッジ・チーフオブアンパイア、シルバーバッジ・チーフオブアンパイア有資格者は、国際チーフオブアンパイアとして位置づけられることになりました。大会前は審判員のリクルートや養成、大会中は審判員の配置などをレフェリーと相談しながらとり仕切ります。
・「国内チーフオブアンパイア」
国内において認定試験の予定はまだ発表されていませんが、B級審判員以上のアンパイア資格を有する人で、所属する地域協会、都府県協会の推薦により認定講習会を受け、合格した人に与えられます。
レフェリー
・「国際レフェリー」
ITFのゴールドバッジ・レフェリー、シルバーバッジ・レフェリーが国際レフェリーとして位置づけられることになりました。国内で開催される国際大会には、必須の資格です。今はまだアジアにもそれほどいませんから、日本の国際レフェリーはアジアにも出かけて、各国で開催される国際大会のレフェリーも務めます。
・「A級レフェリー」
「B級レフェリー有資格者で、所定のレフェリー実務を経験した後、所属する地域協会、都府県協会またはJTA審判部会の推薦により認定講習会を受け、合格した人」とされていますが、2000年5月現在、認定試験は実施されていませんので、該当者はいません。近い将来、実務経験を積んだB級レフェリーを対象に認定試験が実施されるでしょう。
現状では、国内で開催される国際大会は、ITFのレフェリー有資格者が、また、JOPに絡む主要な国内大会は、ITFのレフェリー有資格者、または従来から大会を運営してきた経験豊かな方々がレフェリーとして働いています。いずれ主要な大会のレフェリーを務めるには、「A級レフェリー」の資格が必要となるでしょう。
・「B級レフェリー」
B級審判員以上の有資格者で、所属する地域協会、都府県協会またはJTA審判委員会から推薦され、B級レフェリー認定試験に合格した人がB級レフェリーになれます。
この認定試験は、1998年から実施され、現在、全国に200名程度のB級レフェリーが誕生しています。今後、各地域の大会で正しい知識を身につけた法の番人として活躍してくれることでしょう。

●審判員の任務

審判員の任務は、「JTAおよびJTA加盟団体が主催、公認、主管する大会で審判すること」をいう、と定義されています。

 

「審判」するとは、レフェリー、アシスタントレフェリー、ロービングアンパイア、チーフ・オブ・アンパイア、チェアアンパイア、ネットアンパイア、ラインアンパイア等の任務につくことをいいます。

 

地域によっては、これら以外に

大会運営に協力

することも審判員の任務と認め、実績カード(審判員証)に更新ポイントを付与し、サインしているところもあります。

アンパイア
「国際審判員」
ITF/WTA/ATPの規定に従い、プロの大会での一定の任務が課されていますので、それをこなすことによってJTAとしての任務も果たすことになります。
JTA審判委員会の要請があれば、A級、B級、C級審判員認定講習会・認定試験の講師や試験官を務めなければなりません。

「A級審判員」
1)主として、JTA主催、公認、主管大会の審判を年間40試合以上務めなければなりません。
2)JTA審判委員会の要請があれば、B級、C級認定講習会・認定試験の講師や試験官を務めなければなりません。

「B級審判員」
年間3大会以上、10日以上の審判を行う必要があります。

「C級審判員」
年間2大会以上、4日以上の審判を行う必要があります。

チーフオブアンパイア
「国際チーフオブアンパイア」
国際チーフオブアンパイアの任務は、国際審判員と同様、ITF/WTA/ATPの規定に従った任務を果たす必要があり、それを果たすことによってJTAとしての任務を果たすことになります。

「国内チーフオブアンパイア」
チーフ・オブ・アンパイアとして年間1大会以上(アシスタントチーフ・オブ・アンパイアは2大会でチーフ・オブ・アンパイア1大会とみなされます)、原則として各大会の全日程にわたり行う必要があります。大会のグレードは規定されていないので、地元の市町村大会でもよいでしょう。テニスクラブの大会などプライベートなものは含まれません。

レフェリー
「国際レフェリー」
国際レフェリーの任務も、それぞれITF/WTA/ATPの規定に従います。
委員会の要請により、A級、B級レフェリー認定講習会および認定試験並びにA級、B級、C級審判員認定講習会・認定試験の講師や試験官を務めなければなりません。

「A級レフェリー」
1)主として、JTA主催、公認、主管大会のレフェリーを年間2大会以上(アシスタントレフェリーは2大会でレフェリー1大会とみなします)、原則として各大会の全日程にわたり行う必要があります。
2)委員会の要請により、B級レフェリー認定講習会・認定試験並びにB級、C級審判員認定講習会・認定試験の講師や試験官を務めなければなりません。

「B級レフェリー」
主として、地域協会、都府県協会およびJTA加盟団体が主催、公認、主管す る大会のレフェリーを年間1大会以上(アシスタントレフェリーは2大会でレフェリー1大会とみなします)、原則として各大会の全日程にわたり行う必要があります。もちろん、要請があれば、JTA主催、公認、主管大会のレフェリーも勤めることもできます。

●任期と更新

任期は、資格取得または更新から3年です。

アンパイア

「国際審判員」
「A級審判員」
「B級審判員」
「C級審判員」

チーフオブアンパイア
「国際チーフオブアンパイア」
「国内チーフオブアンパイア」

レフェリー
「国際レフェリー」「A級レフェリー」
「B級レフェリー」


<世界(ITF)の審判制度>
国際審判員資格取得の第1歩は、『レベル1スクール』という審判入門コースを2日間受講することから始まります。このスクールでは審判の基本などが講義され、試験などは行われません。
その後、アジアテニス連盟が開催する『ATFスクール』を受講し、試験にパスすると「ATFオフィシャル」となり、さらに国際テニス連盟が開催(アジアのどこかで開催)する『レベル2スクール』を受講し、試験にパスして「ホワイトバッジ」ホルダーとなります。

その上の資格は、『レベル3スクール』を受講して「アンパイア」「チーフオブアンパイア」「レフェリー」のいずれの道を進むかを選択します。コース別のカリキュラムを受講後、試験にパスするとそれぞれ「ブロンズバッジアンパイア」「シルバーバッジチーフオブアンパイア」「シルバーバッジレフェリー」の資格を与えられます。

さらにその上の「シルバーバッジアンパイア」、「ゴールドバッジアンパイア」、「ゴールドバッジチーフオブアンパイア」および「ゴールドバッジレフェリー」は、ITF専属のエバリュエーター(仕事ぶりを評価する人)から大会での実績を評価されて、その資格を与えられることになります。

 

●資格の種類

審判員の資格(ITF)
アンパイア チーフオブアンパイア レフェリー
ゴールド ゴールド ゴールド
シルバー シルバー シルバー
ブロンズ    
ホワイト    

アンパイア

「ゴールドバッジアンパイア」
世界中で29名しかいません。もちろん審判を仕事として世界中のトーナメントに出かけています。アジア・オセアニアでは、オーストラリアに2名いるのみで、日本人はいません。
「シルバーバッジアンパイア」
世界中で44名ですが、アジア・オセアニアでは、オーストラリアに4名、イスラエルに2名いるだけです。日本では、数年前まで1名のシルバーバッジアンパイアがいましたが、レフェリー(ゴールドバッジレフェリー)のハードスケジュールに押されて実績不足となり、「ブロンズ」に降格となりました。厳しい!!!
「ブロンズバッジアンパイア」
世界には134名、アジア・オセアニアには31名、そして日本に4名のブロンズバッジホルダーがいます。ITFでは、ブロンズバッジ以上を『国際審判員』として位置づけ、世界中で働いています。
「ホワイトバッジアンパイア」
アジアでは、「ATFオフィシャル」を取得した後、レベル2スクールを受講し、パスして「ホワイトバッジ」を手にすることができます。全世界では、586名、アジア・オセアニア地域には158名、そして日本には20数名のホワイトバッジホルダーがいます。
ITFでは、『ローカルアンパイア』として位置づけられ、日本国内のホワイトバッジアンパイアは、国内はもとより、アジア各国における国際大会で活躍しています。
(グリーンカード)
  1997年まで、『レベル1スクール』を受講し、試験に合格した人にATFから与えられていましたが、1997年をもって廃止されることとなりました。今後も国際審判員の卵として国内における国際大会で活躍が期待されています。とにかく実績(審判経験)がなければ上位のスクールを受講することはできません。
今後も国際審判員を目指す人のために『レベル1スクール』は、開催されます。国際審判員を目指す方のためのページも設けました。積極的にチャレンジして一度は4大大会で審判してみませんか。

チーフオブアンパイア

大会における審判員の取りまとめ役として、審判員の募集、トレーニングなど大会が始まる前から働きます。世界中に41名しかいません。アジア・オセアニアには、6名、日本にはたった1人です。

レフェリー

「ゴールドバッジレフェリー」
大会の進行係として、また、ルール適用の総括責任者として卓越した知識と経験で国際大会を運営するレフェリーの最高位の資格。世界に67名、アジア・オセアニアに11名、そして日本には、1人しかいません。
「シルバーバッジレフェリー」
世界に67名、アジア・オセアニアに14名、日本に2名と数の上からは、ゴールドバッジレフェリーとほぼ同じです。チャレンジャー大会など賞金総額25,000ドル以上の国際大会では、シルバーバッジ以上のレフェリーしか働くことができません。

 

●審判員の任務、任期と更新

(ただいまウォームアップ中です。しばらくお待ちください。)
アンパイア
「ゴールドバッジアンパイア」「シルバーバッジアンパイア」「ブロンズバッジアンパイア」「ホワイトバッジアンパイア」

チーフオブアンパイア

レフェリー
「ゴールドバッジレフェリー」「シルバーバッジレフェリー」


 

資格を取得するには

審判資格認定会に関する情報は、ホットニュースでもお知らせしています。

JTAの審判資格

「A級審判員」認定会

JTAが主催・主管して1回/年または1回/2年程度開催されます。B級審判員資格を取得して充分な経験を積んでいるとJTAや地域協会、都府県協会が認めた人だけが受験できます。一次試験(筆記試験)と二次試験(実技試験)があります。筆記試験に合格した人だけが全日本選手権において主審・線審としての適性をチェックされ、評価されて合否の判断が下ります。

日本の最高位のアンパイア資格として、ルールや競技規則を熟知し、トラブルなどに対する即座の対応が要求されます。 合格すれば全日本選手権などの準決勝や決勝の主審をすることができます。

「B級審判員」認定会

JTAまたは地域協会が主管して、多いときには年に3回程度、各地で開催されています。C級審判員資格を取得して、主審や線審の経験を積んでいると地域協会や都府県協会が認めれば受験できます。2日間の講義の中で筆記試験のほか、実技評価や口頭試問もあります。

合格すれば全日本選手権の予選や本戦などで主審ができる場合があるほか、準決勝や決勝のラインアンパイアとして働くこともできます。

「C級審判員」認定会
各都道府県が主管し、JTAから認定員が派遣されて、開催されています。主として国体を控えた協会から開催要請があります。原則として、開催都道府県以外からの受験も可能です。
基本的なルールの知識やスコアカードの付け方など「ソロチェアアンパイア」としての知識があれば誰でも合格できます。「コートの友」などを一通り読めば充分です。

「A級レフェリー」

JTAが主催・主管して開催しますが、B級レフェリー資格が発足して間もないこともあり、しばらく開催の予定はありません。

「B級レフェリー」
JTAが主催し、各地の地域協会が主管して1998年から開催されています。都道府県大会など主として地域大会のレフェリーとしての資質が問われます。
ルールや競技規則に関する知識のほか、ドローやオーダーオブプレーの作成など大会運営の実務知識が要求されます。

ITFの審判資格

『レベル3スクール』以上の資格については、ホワイトバッジを取得し、国内外で充分な実績を積むことが要求されますので、希望される方は、日本テニス協会審判委員会に希望を出しておくことが必要です。

 

まずは、「ホワイトバッジ」を取得することを目標にしましょう。

 

国際審判員の資格を取得するには、ルールや競技規則を熟知するだけでなく、英語の読解力、会話などがスムーズにできなければなりません。日本人にとっては、ルールや競技規則を理解するより、こちらの方が壁となっているケースが多いようです。

 

また、「コートの友」記載の競技規則は、国内大会における競技規則であり、そのまま国際大会に通用するわけではありません。国際大会でも、男子と女子に適用される競技規則が異なるように、大会によって適用される各種の競技規則があることも知らなければなりません。

 

国際審判員を目指す方は、これらの資料を充分読みこなす必要もあるでしょう。これらの資料は

「審友会事務局」

へ請求してください。メンバーであればコピー代と郵送料のみでお送りしています。

「ホワイトバッジアンパイア」

十分な審判経験を積んだ後、JTAの推薦を受けて「ATFスクール」を受講し、さらにいっそうの審判経験を積んだ後、『レベル2スクール』を受講することができます。講義内容、筆記試験、口頭試問は、すべて英語です。大会会場で開催される国際大会で主審を務め、これが実技試験となり、この試験にパスすることによりホワイトバッジホルダーとなることができます。毎年、インドネシア、韓国などアジアのどこかで開催されています。

年間数十試合以上の主審経験がないとJTAからレベル2スクール受講の推薦が得られません。国内大会はもちろん、国内における国際大会で経験を積んでください。レベル2スクールへチャレンジする意志が認められればJTAでも積極的に大会で採用してくれるでしょう。ラインアンパイアの経験も必須です。

受験地までの旅費、宿泊費、およびその手配は、原則としてすべて自分で持ち、自分でしなければなりません。バッジホルダーとなって大会の審判に出かける場合、招待されて出かけることもありますが、すべて自分持ちということも多いのです。

 

資格取得前に準備すること

知識を詰め込むより多くの経験をしたほうが「一見は百聞にしかず」です。多くの先輩たちは、小さな大会のコートレフェリーやソロチェアアンパイアなどを経験して「B級審判員」さらに「A級審判員」や「ホワイトバッジ」を取得しています。「A級審判員」や「ホワイトバッジ」を手に入れるためには、かなりの経験が要求されます。
経験を通して得たことを各種の資料で確認しながら知識を吸収すれば効率よく資格を取得することができます。
審判関係の各種資料は、「審友会」発行資料一覧または、審判関係資料一覧をご覧ください。


日本の審判制度と国際テニス連盟の審判制度

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